トリンドル玲奈が“普通”の価値観にモヤモヤ「恋愛は正義」なの ... - 読売新聞オンライン

　「女は仕事をしながら家事もこなすもの」「恋愛は正義」「男ならそれくらい我慢できるよね？」――。こんな物言いに疑問を覚えたら、テレビ東京の連続ドラマ「今夜すきやきだよ」（金曜深夜０・１２）がきっと気持ちを楽にしてくれる。（文化部　石塚恵理）

　同居する女性２人が“普通”の難しさに悩みながらも、自分らしく生きようとする物語。トリンドル玲奈とダブル主演の蓮佛美沙子は「“普通”とか“当たり前”な価値観に対する気付きや疑問を、おいしいご飯と一緒に優しく手渡してくれる作品」と語る。

　手塚治虫文化賞新生賞を受賞した谷口菜津子の同名漫画が原作。仕事はできるが家事が苦手なあいこ（蓮佛）と、仕事はスランプ気味だが家事が得意なともこ（トリンドル）は、同級生の結婚式で再会して意気投合。あいこが住まいを提供し、ともこが食事を用意するとの条件で同居を始める。

　結婚願望が強く感情の起伏が激しいあいこに対し、ともこはあまり感情を表に出さず、他人に恋愛感情を抱かない「アロマンティック」でもある。トリンドルは「ともこは恋愛をしないけど、ほかのことですごく満たされている。恋愛はする人もしない人もいて、何が正しいとかはないので、作品を通じてそういう人がいることを自然に伝えられたら」と話す。

　恋人に「家事ができない」と言いだしにくかったり、仲のいい男友達と歩いていたらカップルに間違われたり、２人が抱える“もやもや”は、社会に根付く価値観とのずれから生まれたものだ。２人はおいしいご飯を食べながらそれらを打ち明け、自分も他人も大切にできる方法を探していく。

　「自分らしくいながら大好きな人とご飯を食べられるのは、本当にすてきなこと。画面にもそれがすごく表れている」と蓮佛。トリンドルは「世の中の価値観がすべて正しいわけじゃないし、どれかに当てはまらなきゃいけないわけでもない。そういう勇気みたいなものを感じとってもらいたい」と期待を込めている。

　金曜の深夜、１週間を優しい気持ちで締めくくれるような作品だ。

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