Pages

Sunday, November 26, 2023

風邪の原因ウイルスさまざま ライノウィルスや「旧型コロナ ... - 朝日新聞デジタル

 風邪の原因となりうるウイルスは200種類以上あると言われています。風邪を引いた患者さんから病原体を検出する研究では、対象や季節や検出方法などの要因にもよりますが、ライノウイルスが全体の30~50%を占めます。風邪の主要な原因でありながら、あまりなじみのない名前のウイルスですね。

 他の風邪ウイルスと同様に、免疫能が低下していたり基礎疾患があったりする人でなければ、ライノウイルスに感染してもほとんどが重症化せずに自然に治ります。特別な治療薬もありません。なので研究目的でもなければ診断する必要も乏しく、臨床の現場では検査はしません。また、ライノウイルスだけでも種類が多く100種類以上あると言われており、効果的なワクチンを作るのも難しいです。検査も治療法もワクチンもないのであまり聞きなじみがないのでしょう。

 ライノウイルスの次に多いのがコロナウイルスで、普通の風邪の10~15%から検出されます。コロナウイルスといっても、2019年以降に流行した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ではありません。風邪の原因となるいわば「旧型コロナウイルス」は4種類知られています。ライノウイルスと同じく病原性は低く、特別な治療薬や実地臨床で利用可能な検査方法はありません。新型コロナウイルスも十分な時間が経ち、ウイルスの性質や集団の免疫が変化して病原性が低下すれば、普通の風邪のウイルスとみなされるようになるかもしれません。

 インフルエンザウイルスは皆さんにもおなじみでしょう。普通の風邪の5~15%から検出されます。普通の風邪と違って、全身倦怠(けんたい)感や関節痛といった全身症状が強いため「インフルエンザと普通の風邪は異なる」と言われます。しかしインフルエンザにかかっても全身症状が弱く、普通の風邪と症状では区別できないことも多々あります。インフルエンザはいったん流行すると規模が大きくなり、まれながら健康な人でも重症化したり死亡したりすることがあります。そのためか研究も進み、ワクチンや治療薬や検査方法があります。鼻にスワブ(綿棒)を突っ込んで行う迅速検査や、タミフルといったインフルエンザ治療薬はみなさんもご存じでしょう。

 RSウイルスは、やはり健康な成人であればほとんどが軽症のまま自然治癒してしまうものの、赤ちゃんや高齢者が感染すると重篤な症状を起こすことがあります。とくにリスクの高い、早産児、先天性心疾患免疫不全症、ダウン症候群といった基礎疾患がある赤ちゃんに対しては予防的な抗体製剤が利用可能です。また、高齢者に対するワクチンも近々承認される見込みです。

 その他の風邪の原因ウイルスは、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなどがあります。研究目的で広く検査をしても原因不明であることも20~30%ほどあります。ウイルスが原因の風邪には抗菌薬(抗生物質)が効きませんし、インフルエンザウイルスなどいくつかのウイルス以外は検査方法や特別な治療法はありません。臨床の現場では、風邪の原因ウイルスを特定するよりも、風邪か、それとも肺炎などの風邪に似た別の重篤な病気かを鑑別するほうが大事です。

 ※参考文献:The common cold(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12517470/別ウインドウで開きます

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 風邪の原因ウイルスさまざま ライノウィルスや「旧型コロナ ... - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/rwH6sES
普通の

No comments:

Post a Comment