◆東京五輪 柔道女子78キロ級決勝(29日・日本武道館)
柔道女子78級で金メダルを獲得した浜田尚里を鹿児島南高時代に寝技の道へ誘ったのが、現在は国分中央高で顧問を務める吉村智之氏(45)だ。浜田は中学時代、県大会止まりだった。勧誘した理由について「正直、何もないんです。身長が168センチぐらいで高い方だったのはありますが」と苦笑する。実際、5月の全国高校総体予選はメンバー外。1階級2人の枠で、7階級で14人。15~20人ほどの部員の多くは出場できた大会だった。
そんな浜田を変えたのが寝技との出会いだ。吉村氏は団体日本一の目標実現のため、強豪校の指導者に寝技の重要性を聞き、部員全員に取り組ませた。ただ、浜田は高校1年の夏に大阪で合宿した際、「本人の得意の形があったけど、80%ぐらい失敗していた」。見かねて元世界王者で「寝技師」と呼ばれた柏崎克彦さん(69)監修のDVD「寝技で勝つ柔道」を渡した。
そこから寮を午前6時頃に出発する浜田の姿が目撃されるようになった。寮のテレビで繰り返し再生し、練習に没頭。3か月後の新人戦では武器と言えるレベルに昇華されていた。卒業後も山梨学院大、自衛隊で寝技を黙々と磨き続けた。
毎日の練習日誌には目標を書く欄があった。最初の目標の九州大会優勝は2年生の11月に達成。その後、しばらくの間は空欄で提出されるようになった。「次は日本一じゃないのか?」と声をかけたが、それでも空欄。数日後に「インターハイ優勝を目指す」と書かれてきたが「有言実行のタイプ。とりあえずこう、みたいなことはないんだと思う」。ただ、やると決めればとことん取り組んだ。
秀でた身体能力があったわけではない。「今の選手たちにも励みになると思って話しているが、五輪に出るぐらいの選手だったら普通は小さい頃からずば抜けて光るものがあると思われる。でも本当に普通の子だったんです」。だが、3年間で気付かされた才能がある。「一つのことをやる能力が人並みではない。職人だなって」。継続は力なり。その言葉を証明する優勝だった。(林 直史)
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