多くの移民や難民を受け入れてきた欧州では「多文化主義」や「同化政策」など、共生に向けた多様な政策が模索されてきた。その中で、スウェーデンはなぜ「多文化主義」を維持しようとしているのか。政府の政策に大きな影響力を持つマルメ大学移民政策研究所長のピーター・ベヴェランダー教授(57)に聞いた。 Pieter Bevelander 1963年生まれ。ルンド大学で博士号を取得。専門は移民政策、移民の労働市場統合などで、特にスウェーデン、オランダ、カナダなどの移民研究で知られる。
――「多文化主義」とは何でしょうか。 スウェーデンでは、国外生まれが20%、先祖が外国から来た人を含めると25~30%を占め、その意味で多文化の国です。スウェーデンの多文化共生主義の政策とは、彼らを社会に適応させること、仕事や住む家を見つけ、スウェーデン人と交流できるよう促すことです。 ――移民それぞれが持つ文化を尊重することかと思っていました。 もちろん、文化継承や母語教育に対する支援にも同時に取り組みます。彼らの文化や宗教を無理に変えることはできません。ただ、暮らしていると人は自然と変わります。私自身オランダで生まれましたが、今はスウェーデン人のように振る舞いますから。 ――スウェーデンでも「多文化主義」への批判が強まっているように思えます。移民規制を求める声も耳にしました。 ただ、世論では移民に極めて好意的な人が20~25%、批判的な人が20%を占めます。両極化とも受け取れますが、残りの大多数は現状を容認しています。 どの国でもそうですが、スウェーデン政府は移民の流入を野放しにしたわけではなく、常に制御してきました。労働市場の要請と移民の流入は、バランスが取れていたのです。2015年の難民危機は、確かに少し数が多かったのですが、初めての経験ではありません。1990年代にも旧ユーゴスラビアから多数の難民を受け入れました。 ――社会への適応はうまくいっていますか。犯罪多発の指摘もありますが。 移民の99%はスウェーデン社会で普通に暮らし、多くの物事を学び、チャンスをつかんでいます。中には途中で脱落し、犯罪に走る人もいる。ただ、それはどんな国でも、どんな社会でも起きること。理由も単純ではなく、学校の問題、住宅事情、警察官の不足など複雑な要素も影響しています。犯罪増加は、移民よりもむしろ、スウェーデン社会の構造的問題ととらえるべきでしょう。
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