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Friday, January 12, 2024

普通の暮らし/家族一緒 中学生が親元離れ集団避難の輪島、迫られる決断 - 産経ニュース

避難所になっている輪島中学校では、授業の再開が見通せない状況となっている=12日午後、石川県輪島市(桐原正道撮影)

能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市が、避難生活を続ける中学生の学習再開に向け、希望する生徒を市外に避難させる準備を進めている。市は11~12日、保護者に対する意向調査を実施。県南部の施設へ生徒を避難させる想定だが、生徒は親元から離れることになる。「子供だけでも普通の暮らしを」「家族は一緒がいい」。保護者は厳しい決断を迫られている。

「既に自力で家族とともに市外に出たお子さんもいる。格差が広がりすぎないよう、一刻も早く学習を再開したい」。輪島市教委の小川正教育長はこう強調する。

市教委によると、市内の小学生699人、中学生401人(昨年12月1日時点)は、11日までに全員の生存が確認された。だが、校舎が被災したり、避難所になったりしているため、3学期の授業が始められない状態だ。

輪島市の人口は約2万3千人(昨年12月時点)だが、12日午後3時現在、約9500人が避難所で生活。自宅で避難生活を送る市民も停電や断水で日常生活からはほど遠い。市の担当者は、ライフラインや道路の復旧が見通せない上、被災した校舎が使用できるか今後診断する必要があるとし、「修復なども考えると、校舎がいつから使えるようになるかも不透明だ」としている。

そのため、市は子供だけで市外に集団避難できないか県に打診。県南部・白山市にある県立宿泊研修施設2カ所への避難を念頭に調整を進めている。保護者は同行できないため、対象は中学生に限定。保護者に通信アプリなどを通じて意向確認を行った。

小川氏は「輪島市に戻っていただくことが前提の避難になる。長くても2カ月以内には戻れるようにしたいが、どうなるか分からない」と話す。小学生についても、どこに避難しているかなどの実態を把握した上で、学習再開の方法を検討していくという。

中学生の集団避難に対し、保護者からはさまざまな意見が出ている。

長男が中学1年という40代母親は「輪島市内にいても、生活の再建がいつできるか分からない。子供だけでも、友達や先生と一緒に元の生活に近い形に正常化できるなら、させてあげたい」と前向きな姿勢を見せる。

これに対し、高校受験を目前に控える中学3年の子供を持つ保護者からは否定的な意見も。40代父親は「白山は遠すぎる。勉強はどこででもできるし、子供には被災の実情を見てほしい」と反対で、50代母親も「子供たちも心に傷を負っており、家族と一緒にいるのがいい」として集団避難は見送る意向を示した。(橋本昌宗、橘川玲奈)

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