――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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任天堂は「ステイホーム」需要に乗り、市場予想をはるかに上回る好調さでハイスコアの記録更新に迫っている。だが、同社が10年以上前に最高記録を出した年の教訓に留意しなければ、投資家が再び興奮を味わえる日はまだまだ来ないかもしれない。
日本のゲーム業界の雄である任天堂の10-12月期の営業利益は前年同期のほぼ2倍となり、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、最も強気の予想をも上回った。2008年に記録した四半期の過去最高益に手が届くところまで来ている。当時は「Wii」や携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」が飛ぶように売れた。新型コロナウイルスの流行は、ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」やゲーム機「ニンテンドースイッチ」の巣ごもり需要を押し上げた。競合するソニーとマイクロソフトの新型ゲーム機は、生産および配送の障害により年末商戦期の出荷数が制限された。任天堂は過去3四半期で「スイッチ」合計2410万台を販売し、累計販売台数を約8000万台とした。一方、既に生産終了した「Wii」の販売総数は1億0160万台だった。
任天堂の2021年3月期は、ほぼ間違いなく過去最高益となるだろう。同社は1日、今期の営業利益見通しを24%引き上げ、5600億円に修正した。これは過去最高を記録した2009年3月期を上回る水準だ。だが、これでも見通しが保守的過ぎる可能性が高い。一方、任天堂の株価は2020年初から42%上昇し、2007年に付けた過去最高値をわずかに13%下回る水準まで来ている。
任天堂の現在の連勝状態は、10年以上前の「Wii」ブームの頃をほうふつとさせる。「スイッチ」が発売から5年目を迎えるにあたり、任天堂は前回のような失速を避けるよう注意する必要がある。当時は金融危機とスマートフォンの台頭で状況が悪化する中、「Wii」の圧倒的成功の勢いを維持することができなかった。「Wii」の後継機「Wii U」は大失敗に終わり、同社は2013年、14年と2年連続で赤字となった。
「スイッチ」用ソフトの独占タイトルや本体のアップグレード版で、ゲーマーを引きつけ続けることがカギとなるだろう。オンラインサービスの強化も気まぐれなゲーマーをつかむための手段となり得る。過去3四半期の任天堂のデジタル売上高はゲーム売上高全体の41%と、以前より伸びている。コロナ禍は任天堂のゲーム事業を押し上げたが、同社の人気シリーズを利用した他の収益化方法には打撃を与えている。テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)内の「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の開業は2度延期されている。
任天堂の2020年は高得点だった。だがゲーマーが再びリビングルームの外に出られるようになれば、この勢いを維持するためには、さらなる何かが必要になるだろう。
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