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Wednesday, November 29, 2023

浦和FWカンテ、引退撤回せず「普通の父親になりたい」現役最後の埼 ... - スポーツ報知

◇アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)◇1次リーグJ組第5戦 浦和2―1武漢(29日・埼玉スタジアム)

 前回王者の浦和はホームで武漢(中国)を2―1で下し、2連覇にのぞみをつないだ。27日に今季限りでの現役引退を発表したばかりのギニア代表FWホセ・カンテ(33)が、1―1の後半45分に勝ち越し点。現役最後となる埼玉スタジアムでの一戦で、惜別のゴールを決めた。(星野 浩司)

 勝利後に場内一周した時は我慢していた涙があふれ出した。試合後の取材エリア。カンテは突然、報道陣に背を向けて10秒ほど言葉を詰まらせ、目を潤ませた。

 「これ以上に良い結果はなかったでしょう。このようなエンディングになるとは想像していなかったし、今日がこのような日になることも想像してなかった。素晴らしい形で埼玉スタジアムでのプレーを終えられた」

 後半23分に同点に追い付かれた直後。カンテはともに途中出場するMFシャルクとピッチサイドで会話を交わした。「これは俺らにとって良い1―1だ。俺らで勝負を決められるからな」。引き分ければ1次リーグ敗退となる危機的状況。同45分、MF大久保智明の浮き球パスにシャルクが相手と競ったこぼれ球を拾ったカンテが左足ボレーを放った。ゴール右隅に突き刺し、ACL出場4戦連続ゴール。有言実行の一発だった。

 衝撃の引退発表から2日。SNSなどで惜しむ声がファンから多く寄せられ、この日の試合後にチームメートからも「まだまだ全然やれる」「引退はもったいない」などと声が挙がった。引退を撤回しても全くおかしくないような活躍ぶりだが、本人の意思は固かった。

 「僕も心の底で決めた判断です。これは何年も考えていたこと。今はその判断を変えるタイミングではない。もしかしたらあと3、4年プレーできるかもしれないけど、しっかりとした父親になりたいと思う」

 引退を考え始めたのは、中国1部・滄州でプレーした昨季終了後。「中国のキャリアの後、残り1シーズンかもしれないと思った。サッカーを愛しているけど、このタイミングでキャリアを終えることを悲しいとは思っていない」と言う。決断の背景には、自身が生まれ育ったスペインで暮らす7歳の息子の存在が大きかった。

 「彼からは前から(いつ引退するのか)聞かれていました。僕を求めていました。息子はこれから僕と毎日一緒にいられることに興奮してる。父親という立場で一緒に時間を過ごしたい。学校に連れて行って、迎えに行って、遊びに行きたいときは一緒にいく。普通の父親になりたい」

 引退後の仕事は「まだ決めていない」と明かした。14年以降はキプロス、ポーランド、スペイン、カザフスタン、中国、日本と欧州やアジア各国でプレー。「10年ほど海外で仕事をしていたので、まずは地元をエンジョイする考えです。僕の仲間と一緒に時間を過ごしたり、時間が経つにつれて何かを見つけるかもしれません」

 3月16日の入団会見で話していた印象的な言葉がある。「14ゴール以上決めたい」。柔和な口調ながら、得点に対する強い意志を感じさせた。今季は現在、リーグ戦で8得点、公式戦は計13得点をマーク。まだリーグ最終節・札幌戦、ACL第6節・ハノイ戦、そしてクラブW杯(ジッダ)が残っている。GK西川周作も「まだお別れは言いません。最終節でも彼がゴールを決めてくれることを期待してます」と話した。多くの浦和サポーターを魅了してきたカンテのゴールショーは、まだまだ終わっていない。

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