1分55秒2――。
速い、なんてものではない。競馬ファン、関係者ならば誰もが驚愕する数字であり、それはルメール騎手も同様だった。
「時計を見たときはビックリしました!」
ただ、実際にレースを体感したジョッキーの驚きと、見ている側の驚きの“質”は若干異なっている。共同会見でルメール騎手は今回のイクイノックスの走りとレースのペースについての実感をこう明かした。
「イクイノックスは向こう正面で落ち着いてくれたし、ハミを落として自分のペースで走ることができました。普通のペースだと感じていて、イクイノックスはトビもスムーズでしたし全然力を使っていないから3番手でちょうど良いペース。だから、こんなに速いペースだと思っていなかったです」
外枠からジャックドールが果敢に飛ばして前半1000mが57秒7。これだけでも相当に速い時計であるのに、当のイクイノックスにとっては“普通のペース”だというのだ。そして、これだけの速い流れの中を3番手で追走しながら、さらにスピードアップした後半1000m57秒5という激流の中を余裕たっぷりに差し切ったのだから、これはもう驚きを通り越して、もはや恐ろしさすら感じてしまう。そんな、傍から見れば神がかりのレースであっても鞍上の体感としては「全然オーバーペースではなかった」。だから、ルメール騎手の「驚いた」というのは単純に「時計が速くてビックリ!」ではなく、「こんなに速い時計が出ているとは思っていなかった」という意味での「驚き」だったのだ。
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普通の
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