あなたは、自分や家族が「発達障害ではないか」と疑ったことがあるだろうか。ゲームクリエイターの南雲玲生さん(49歳)は、自身も当事者で、現在は発達障害児向けの放課後等デイサービス「ドーユーラボ」を沖縄県内3カ所で運営している。彼は講演でこのように述べている。
「取材の際、多くのメディアは――落ち着きがない、不注意、過集中――という発達障害の代表的な症状について聞きたがります。私もそれに応えようと、演技しなければいけないくらいのプレッシャーがあり、とても苦しかった。ドーユーラボに通う多くの児童は目立たなかったり、良い子すぎたり、表面的にはいわゆる“発達障害の像”には当てはまりません。知能も、標準かそれ以上です。でも内面では複雑な問題を抱えています」
2022年12月、文部科学省は「通常学級に在籍する公立小中学生の8.8%に発達障害の可能性がある」という調査結果を発表したが、南雲さんは大人の発達障害も同じくらいの割合ではないかと考えている。その中には「普通に見える人」も含まれているという。今回は南雲さんの訴える「発達障害当事者の最大の苦悩」を紹介する――。(第2回/全3回)
小2までのいじめは「知らないフリをしろ」と制された
南雲さんが一番苦しかったのは、幼少期という。今でいう「吃音」、当時は「どもり」と呼ばれていたが、幼い頃から言葉が出ないことに悩んでいた。
「例えば『さくらんぼ』と言いたくても、『ささささささ』と、『さ』しかでない。柿なら『カカカカカ』とか。今の時代なら周囲はそっとしておいたでしょうが、当時は『気が緩んでいるからどもる』とか、両親も『落ち着いてしゃべりなさい』、さらには『悪魔がいる』なんて言われたりもしました」
南雲さんは複雑な家庭で育った。父親は生まれたばかりの彼を置いて去っていき、残された母親と玲生さんの生活は血のつながりがない、別の男性が支えた。
「育ての父が僕を大事に育ててくれたことは間違いありませんが、しつけは厳しかった」と南雲さんが振り返る。
「嫌なことを言葉や表情に出すことは許されませんでした。食べものを『食べたくない』といえば、殴られる。そして『おいしいです』と10回言え、と迫られる。小学生の時はテストで95点では怒られるので、毎回100点を取りました。そうなると今度は、学校のテストができない人の気持ちはわからない。なんで自分ができるのに、できないんだろう、と」
周囲を見下しているのが伝わったのだろう。南雲さんは小学2年生まで「いじめ」を受けていた。親からも、「わかっていても、知らないフリをしろ」と徹底的に制された。
からの記事と詳細 ( 普通の人は、無意識にウソをついている…発達障害の49歳男性を苦しめる「わかります」という言葉のウソ なぜ「大丈夫」ではないのに、「大丈夫」と言うのか - PRESIDENT Online )
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