フリーライターのたかなし亜妖と申します。WEBコラムや映画・漫画レビュー、時にシナリオなどジャンル問わず文章を書く日々です。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。なんとなく入った業界で気づけば2年半が経過したところで、引退を決意しました。 その後は何事もなかったかのようにシレッと昼の世界へ出戻り。ライターになり早4年が経とうとしています。
実は蕁麻疹騒動が起こる数か月前から、セクシー女優を引退するか悩んでいた。2018年の年明け、つまり自分が業界入りを果たしてから丸2年が経過しようとしていた時である。 私はこれといった理由もなく、ヌルリとアダルト業界に飛び込んだ。仕事をたくさん抱えているわけでも、かといって毎月激ヒマなわけでもなく……。言わば「知名度がないけどなんとか生きられる系の人間」でしかない。YouTuberで例えるなら登録者数3~5万人くらいの微妙な立ち位置で、生ぬるい状態をズルズル続ける日々。 適当にオファーがあったために生活はできてしまう。未来を特に考えることなく、目先の撮影だけを追ってなんとなく暮らしていた。 基本は朝方に就寝。昼過ぎに起床。何もない日は夜21時ごろ出掛けて、フリーターの友達と朝まで飲み明かすのがデフォだった。 行きつけの飲み屋のおっちゃんに「ねーちゃん!毎回朝まで飲んで大丈夫? 一体何の仕事してるんだい」と聞かれて、ドキリとしたけど。当時はまだハタチそこそこだったから、自由奔放な毎日に危機感さえ覚えなかったものだ。 時が進むにつれて環境は変わっていく。同級生がインターンだ!就活だ!学生結婚だ!と騒いでいるのに対し、私はどうだろう。働いてはいるけど心はいつでも半ニート状態なので、はたから見れば完全にヤベー奴でしかない。 高校時代のクラスメイトと会った時、自分自身の持つ世界と、一般の世界のズレを大きく感じた。彼女たちと会うのは楽しかったけど、社会にとっての“普通”を目にするたびに、引退の二文字が頻繁に脳裏をチラつくようになっていた。
蕁麻疹が出たことが女優引退のきっかけに
私がセクシー女優だった4年前のある日。突然全身に蕁麻疹が出た。それも頭皮からつま先まで、私の体は余すところなくブツブツまみれに。まるで自分が草間彌生の作品になったように思えた。 いや、それは完全にウソなのだけど、何の前触れもなしにこの状態になったのだから笑えない。皮膚科で鎮静化させる注射を打っても、薬を服用してもすぐに引かず、しばらくの間は水玉模様の肌と付き合わねばならなかった。 見るも無残な姿を鏡で再度確認し、ふと考える。 「もうこれは“女優をやめろ”という、神様からのお告げではないか?」 痒さに耐えつつ薬を塗り、一向に引かない蕁麻疹を眺めながら絶望する日々。おかげで一本撮影をキャンセルしてしまった。知人から当時、現場でヤバイ病気でも貰ったんじゃ、と心無い言葉を投げられ、激しくキレたのを今でも覚えている。AVの撮影現場は性病対策を徹底しているのだ。“お土産”を貰うことはまずないだろう。 他に仕事をしていなかったため、働けない間は無職同然。いざ収入が途絶えてからようやく、私は自分の将来について真剣に考えることとなった。業界から離れようと思った本当の理由
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