数多くあるテレビ番組の中で、人気のジャンルの1つであるネタ番組。しかし、最近、大型番組でも低迷するものが目立っている。業界では「もう普通のネタ番組は通用しない」との声も挙がっている。最新のネタ番組事情についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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27日夜、新たなネタ特番『ドラフトコント2021』(フジテレビ系)が放送されます。この番組は、「25人の芸人をプロ野球ドラフト会議形式で取り合ってチームを作り、コントを披露する」という斬新な企画。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で、架空の番組をキャスティングする「芸人ドラフト会議」という企画が何度か放送されていますが、「実際にチームを組んでコントをする」という今回の企画は数歩先を進んだものです。
実はこのところネタ番組を取り巻く状況は、良いニュースと悪いニュースが交錯していました。まず良いニュースとしては、10月2日に放送された『キングオブコント2021』(TBS系)が「過去最高レベル」と称賛を集め、視聴率も個人8.2%・世帯12.4%を獲得。また、『有吉の壁』(日本テレビ系)、『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)が定着し、民放各局が求めるコア層(13~49歳)の個人視聴率を得ているほか、番組発の人気キャラクターも誕生しはじめています。
一方、悪いニュースは、今秋に特番からレギュラー化された『ザ・ベストワン』(TBS系)の低視聴率。10月15日(3時間SP)が個人2.6%・世帯4.4%、同29日(3時間SP)が個人3.5%・世帯5.6%、11月12日(2時間SP)が個人2.7%・世帯4.4%に留まっているのです。笑福亭鶴瓶さん、今田耕司さんの大物2人がMCを務めていること、初回から3回まですべて特番で挑んだこと、ネット上の話題にもほとんどなっていないことを踏まえると、かなり厳しい結果と言わざるを得ないでしょう。
なぜ局を挙げた大型ネタ番組『ザ・ベストワン』がこれほど奮わないのか。しかし、すでに業界内では、「もう普通のネタ番組は通用しない」という声が挙がっていたのです。
「テレビオリジナル」のネタなのか
実はこの数か月間で放送された主なネタ特番は、下記のようにとても成功とは言えない結果に終わっていました。
10月16日に放送された『エンタの神様 大爆笑の最強ネタ大大連発SP』(日本テレビ系)は、2時間特番で個人4.7%・世帯7.5%。
9月28日に放送された『お笑い王者が激推し!最強ピンネタ15連発』(カンテレ・フジテレビ系)は、2時間特番で個人2.7%・世帯4.7%。
9月8日に放送された『NETA FESTIVAL JAPAN』(日本テレビ系)は、3時間特番で個人4.9%・世帯7.7%。
9月5日に放送された『サンド軍VSナイツ軍!とっておき激推し芸人ネタバトル』(テレビ東京系)は、2時間半特番で個人2.2%・世帯3.6%。
8月3日に放送された『ネタ祭り!2021夏!!』(テレビ朝日系)は、2時間特番で個人3.4%・世帯5.5%。
これらのネタ特番に共通しているのは、「基本的にネタを連続して見せる普通の構成」であること。時折、レアなネタやコラボ企画なども織り交ぜていますが、視聴者の印象としては「普通のネタ番組」であり、そう思われてしまうと見てもらえないようなのです。
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