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Sunday, April 11, 2021

1500mの深海もあった 火星の水はどこに消えた?|NIKKEI STYLE - 日本経済新聞

ナショナルジオグラフィック日本版
火星の地表にはかつて水が流れていたが、数十億年前に消えてしまった。最新の研究論文により、多くの水が、宇宙空間に流出しただけでなく、火星の地殻内の鉱物に閉じ込められた可能性があることが示唆された(IMAGE BY NASA/JPL-CALTECH)

現在の火星は極寒の砂漠だが、干上がった三角州や川岸などの地形を見れば、かつて水が地表を流れていたことは明らかだ。隣の地球には水が豊富にあり、生物の楽園となっているのに、火星の水はいったいどこへ行ってしまったのだろうか?

これまでの研究は、火星の大気が太陽放射によってはぎ取られ、宇宙空間に水がほとんど流出したと示唆してきた。しかし、2021年3月16日付で学術誌「Science」に掲載され、同日に月惑星科学会議でも発表された最新の研究は、大量にあった火星の水は宇宙空間へ逃げたとともに、地質内にも閉じ込められたのだろうと結論づけた。

今回、地質学者と大気科学者から成るチームは、火星の観測データを新しいモデルに組み入れ、火星の過去の姿を新たに描き出した。この新説によれば、もともと存在した水の量にもよるが、30~99%の水が地殻内の鉱物に取り込まれ、残りが宇宙空間に流れ出たと推定している。

30%と99%には大きな幅があり、かつ、水の消失には鉱物に取り込まれたことと宇宙空間に流れ出たことの両方が関係している可能性が高いため、「この数値の間のどこかに事実があるのだと思います」と米パデュー大学の惑星科学者ブライオニー・ホーガン氏は述べている。なお、氏は今回の研究には参加していない。

いずれにしろ、もし新しいモデルが正しければ、火星の「青春時代」の物語は書き直しを迫られる。過去のモデルで推定されていたよりはるかに多くの地表水が、初期の火星に存在し、そして、初期の火星はこれまで考えられていた以上に微生物に適していたかもしれない。

「この論文は、たとえ短期間でも、かつて火星が青い惑星だった可能性を認めています」と、米ノースカロライナ州立大学の惑星科学者ポール・バーン氏は述べている。氏も今回の研究には参加していない。

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