イスラム教の預言者ムハンマドの誕生日にあたる昨年10月29日、フランス南部ニースの教会で男女3人が刺殺されるテロ事件が起きた。実行犯として拘束されたのは、アフリカ北部チュニジア出身のブラヒム・アウイサウイ容疑者(21)。事件の約40日前に船でイタリアに密航し、事件前夜にニースに着いた。なぜ海を渡ってまで犯行に及んだのか。その足跡を追った。 (カイロ・蜘手美鶴)
チュニジア中部スファクスの海岸。周りに塩田が広がり、強い海風が絶えず吹き付ける。「あそこから先が深くなっている。密航船がくる場所だ」。アウイサウイ容疑者の友人フーマーム・ジャッビさん(21)が指さした。容疑者は昨年九月中旬、ここからイタリアへ渡った。
容疑者が生まれ育ったのは、海岸近くの貧しい地区だ。「何も言わずに突然いなくなった。二日後に『イタリアにいる』と電話をかけてきた」。父ムハンマドさん(62)は困惑した様子で振り返る。
容疑者は十人きょうだいの九番目。友だちは少なく中学校を中退後は路上でガソリンを売っていた。イスラム教が禁じる酒も飲み、たばこも吸う「普通」の若者。家族や友人は「イスラム過激派などではなかった」と口をそ...
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