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Saturday, June 20, 2020

パンデミック収束の兆しが見えてきた今こそ、「普通の生活」に戻ることに抗うべき - ハーパーズ バザー・オンライン

audrey hepburn

Silver Screen CollectionGetty Images

各ショップが再オープンし、社会的制約が緩和され始めたロックダウン後の生活にホッとしつつ、「私たちは、新しい未来に作り変えるための、このまたとない機会を無駄にしているのではないか?」という懸念が高まっている人は多いはずだ。

筆者は今日、大通りで蛇のような長い列に並ぶのから外れ、木に登った。てっぺんまで。夕方の温かい風が肌をサッと撫で、太陽が空をモーブ色の層に切り裂きながら傾いていくなか、私はグレーの皺が刻まれた幹のカーブに抱かれ、枝から脚をスウィングさせた。私は、すっかり穏やかな気持ちになった。再びつながり、自然に戻った気さえした。この20年間で、ふと思いついて(思いつきにせよ、何にせよ)気に登ったのは初めてだった。私はついに、一般的に"今現在"と言われる時を生きていた。でも、グローバルなパンデミックを経験して、やっとここにたどり着いたのだ。

自分たちにとって、根本的に大事なものは何か?を確認する機会ができた

一見、世界的なロックダウンが予想外に良い面をもたらしたように思うのは、まったく不快なことだ。迫り来る景気後退、毎日死者数が増えていく衝撃、家庭内暴力の急増などは、間違いなくSARSのような形をした氷山の一角だ。今週、自宅の裏庭で焼けた素肌を気まずそうに惚れ惚れと眺めた多くの人に、また新たに近親者を亡くした人がいる。そして、この事態の全貌を私たちが知るのは、まだ遠い先のことだ。

それでも、ゆっくりと、不安感を覚えながらも、パンデミックから希望の兆しが浮かび上がりつつある。化石燃料消費量や二酸化炭素排出量はダウンした。長時間の消耗する通勤をしなくなり、家族が一旦立ち止まって自分たちにとって根本的に大事なものは何か?を確認する機会ができた。コミュニティという感覚が街に戻ってきた。木曜日の夜、キーワーカーたちに拍手して尊敬の輪を広げる活動が始まって、感動しない人がいただろうか? トム・ムーア(Tom Moore)退役大尉が庭を100周歩き、NHSのチャリティに寄付金3200万ポンドを集めた(100歳の誕生日に向けて募金を募るチャレンジを開始し、大きな話題となった)ことはどうだろう?

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「この危機によって、国民がひとつにまとまるという精神が浮かび上がり、そのことに私たちは驚いたと思います」と、Rethink Mental Illnessのアドバイス&インフォメーション・ヘッドのローラ・ピータース(Laura Peters)は言う。「世界中の人にとって、それほど辛い日々ではなかったというわけではありません。辛かったことに疑問の余地はありませんが、そこから得られた前向きな点もあります。毎日、ただ散歩に出かけて、鳥のさえずりを聞くだけで、人のメンタルヘルスにどれほど前向きなインパクトを与えるのかは、驚くばかりです。ロックダウンが始まってから、自分にとって大事なものを学ばなかったという人を探すことは難しいと思いますよ」

不安障害を専門とするカウンセラーで、BAGP(英国婦人科医協会)の会員でもあるインディラ・チャイマ(Indira Chima)も同感で、新型コロナウイルスに打ち勝つため、急速に世界中に支援の輪が広まったことは、"グローバルなハグ"にも似ていると言う。

「ロックダウンによって、セキュリティという意味ではまるで子宮のような、安全な聖域を与えられた人もいます。そこから出て不確実性の中に入って行くのは、困難でしょうね。しかし、共通の目標に向かい、世界がこのようにひとつになって闘うのを見るのは、心温まるものです。特に、激しい政治的分断の時期を経た後はそうですね」

「私たちがロックダウン以前に"普通の生活"だと思っていたものは、多くの人にとってかなりストレスフルなものだったことは事実です。過剰生産で、維持不可能なものです。今回、強制的に一時停止させられたことで、人々は全体像を見ることができ、おそらく初めて、自分の生き方を再評価することができました。それは人の人生のコースを根本的に変えてしまう可能性があります。私のクライアントの多くは、在宅ワークした結果、オフィスに戻るかどうかを再交渉しています。今まで滞っていた問題に、ようやく対処しようとしている人もいます」

"普通の生活"だと思っていたものは、多くの人にとってかなりストレスフルなものだった

これはユニバーシティ・カレッジ・ロンドンUniversity College London)で継続中の研究から、ロックダウン開始当時は幸福度のレベルが下がったにもかかわらず、74,000人の回答者のウェルビーイングは、この数週間で上昇したと示唆されていることともリンクする。慢性的不安に悩まされている人のなかには、幅広い社会の連帯意識を新たに発見したとして、この危機によって気分が向上したという人さえいる。

「私たちは今、社会的感性が高められた状態にあります」と、ケント大学(University of Kent)で恐怖感を専門とする社会学者で名誉教授のフランク・フュレディは言う。「ロックダウンによって、ふだん日常生活で抱えている多くの負担や責任が和らいだ人たちがいます。同様に、人は病気になると、ふだんと違う振る舞いをしたりコントロールするのを断念したりすることを許されますが、ロックダウンは、過剰な刺激の場合が多いことをうまく調整してやりこなさなければいけないというプレッシャーから、人を解放しました。私たちはもう、美しく、生産的な、社会から期待されているバージョンの自分を見せるよう期待されないのです。それはパワフルな安心感をもたらします。ロックダウンが解除され外に出ていくと、"自分はまだ十分やれるだろうか?"と聞く人がいるかもしれません。でも、そういう人たちは"自分は誰のためにこれをやっているのだろう?』"と自問するべきなのです」

goats roam welsh town as coronavirus lockdown empties its streets
ロックダウン中に街を歩き回る山羊たち

Christopher FurlongGetty Images

この問いは、私たちがこのように海図のない水域をどう舵取りしていくか、ということだけでなく、ロックダウン後の"普通の状態"の社会的構造の概念という重要な問題を投げかける。このように長い間、内省の日々を送った後、予想もしなかったパラドックスに陥る自分を発見する人がいるかもしれない。このもっとゆっくりした、もっと熟慮した生き方のペースを選択し、ロックダウン以前の普通に戻ることに逆らうべきだろうか。

ビジネスや思想的指導者にはわかっている事実だ。Rethink Mental Illinessはすでに、従業員のウェルビーイングのための新しい働き方を確立するために、雇用側と密接に取り組み、政府は再生エネルギー利用を高め、徒歩や自転車による通勤を奨励し、長期的には公害レベルを低減するための20億ポンドをかけたインフラスキームなどを含む環境保全プランを推進している。と同時に、全国にポップアップのボランティアネットワークが急増し、孤独から食料難、医療リサーチまであらゆることに対処していることも、さらに前向きな社会変化を推し進める手助けをしている。

"元通り"になることに逆らうことで初めて、それは実を結ぶ

つまり、私たちがかつてないほど進歩的かつ転機をもたらすような政策を求めている時に、世界は共同で行動を起こすパワーに目覚めたのだ。この数週間、そして数カ月、私たちは団結してグローバルなパンデミックと闘い、人種差別に抗議してきた。現状の足かせを撥ねつけて「Black Lives Matter」を支持し、多様性を推進し、平等を要求してきた。より思いやりがあり、もっと調和のとれた社会に変えることができるよう、私たちは一緒になってデモをした。しかし、"元通り"になることに逆らうことで初めて、それは実を結ぶのだ。

「この経験からより良い世界を作らないとしたら、残念なことですね。これを、気候変化に取り組み、コミュニティのなかで一番の弱者のために闘う機会だととらえないとしたらね。COVID-19は私たちの進路を止め、自分たちのあり方や生き方を見直すよう強いました。ロックダウンから学んだことを、どのように未来に伝えていくか、それを決めるのは私たち自身です」と、チャイマは言う。

では、いつやるか? 今でしょう。


Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。また、日本における新型コロナウイルスに関する最新情報については厚生労働省WHOのサイトをご確認ください。

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