6月2日の京セラドーム大阪。久しぶりに野球を見た。出勤簿を確認してみると、私が最後に試合を球場で見たのは3月21日の練習試合ソフトバンク-ロッテ戦だった。2カ月以上も間が空いていたのか。選手たちにとっても、紅白戦は再開していたとはいえ、対外試合は72日ぶり。でもそこにはブランクをほとんど感じさせない「普通のプロ野球」があった。

野球の質なんてわかるほど詳しくはない。でも当たり前のように150キロ近いボールを投げる投手。それをさらっと打ち返す打者。守備の1つ1つのプレーも、シーズン中に見るものと大きく遜色はないように感じた。「プロってすごい」と素人感丸出しの感想が浮かぶ、久々のプロ野球観戦だった。

未曽有の状況下で何度も開幕が延期し、練習環境も不自由な状況が続いた。そんな中で王球団会長はじめ、選手たちからもよく出たのが「プロなんだから」「プロですから」という言葉だった。どんなに厳しくても与えられた環境で準備し最高のパフォーマンスを見せる。その心意気が言葉だけではなかったことは、その日のプレーだけでも十分に伝わってきた。

ここからは余談。ソフトバンク担当記者としては、チーム練習が解散となってから約2カ月間テレワークが続いた。趣味のランニングも途中からはおっくうになり、家に72時間くらいぶっ続けでいることも珍しくなくなっていた。なんとなく、2日の対外試合スタートとともにランニングを再開してみたが体は当然、思うように動かなかった。

まだ選手を直接取材することはほとんどできない。ベテラン選手とサウナ談議もできないし、同い年の選手と趣味の話で盛り上がることもできない。次に取材するチャンスがあってもうまく話せるか…と多少不安だ。球場に行くために電車に乗って、駅から少し歩くだけでも異常に疲れる。ぼくの「社会復帰」にはまだ時間がかかりそう…。そんな悠長なことを考えている間にも6・19は近づいてくる。比較にはならないが、そんな極限下でも最高のプレーを見せようとしてくれている選手たちを、ソーシャルディスタンスから今まで以上の敬意を持って見つめていきたい。【ソフトバンク担当=山本大地】

上林(左)の先制適時二塁打で生還した松田宣(左から2人目)はベンチ前でエアータッチを交わす(2020年6月2日)
上林(左)の先制適時二塁打で生還した松田宣(左から2人目)はベンチ前でエアータッチを交わす(2020年6月2日)
バレンティンは左越え2点本塁打を放ち、ナインと「ピーポーピーポー」(2020年3月21日)
バレンティンは左越え2点本塁打を放ち、ナインと「ピーポーピーポー」(2020年3月21日)