競泳でオリンピック(五輪)2大会連続2冠の北島康介氏(37)が6日、インスタグラムのライブ配信に登場した。事前に集められた質問に回答する形だったが「レジェンド」に現役の代表選手、コーチからも質問が飛び出した。

女子平泳ぎの青木玲緒樹(25=ミズノ)は、破格の集中力、勝負強さを見せた北島氏に対して「ゾーンに入る方法は何ですか」と質問。北島氏は「雰囲気を自分で作ることも大事。調子がいい時に、いいのは当たり前。調子が悪い時に自分でつくっていく」と回答。その上で「練習でも『これはいる』『これはいらない』と自分で区別しないほうがいい。水に入る前にいいイメージで取り組もうとしていました」と話した。

男子平泳ぎのホープ佐藤翔馬(19=東京SC)を指導する西条コーチからは、泳ぎのストロークを数える練習の時に気をつけていたことを聞かれた。北島氏は「なぜストロークのカウントが必要になったか。平井コーチは『テンポを上げすぎず、たくさんかかなくてもいいよ』ということを、脳に覚えさせる、体にしみ込ませるためだったと思う。選手からしても調子のバロメーターがわかる」。

08年北京五輪100メートル平泳ぎ決勝前、平井コーチの「勇気を持ってゆっくりいけ」というアドバイスを引き合いに出し「これは、なかなか言えないと思う。絶対的な自信と反復練習したことが出せるというのがあったと思う。このアドバイスが北京で勝てた大きな要因だった」。平井コーチの存在について「選手1人1人に沿ったコーチングスタイルだった。選手として、ありがたかった。一方的なコーチングじゃなかったし、選手に考えさせてくれた。でもプッシュする時もある。『何でもいいよ』じゃなかった」と振り返った。

また33歳まで現役を続けられた理由について「面白かった。30歳を過ぎても、頭をスポンジにできるとか、まだ自分が強くなれる、過去の自分を超える可能性があると感じられた。オリンピックで金メダルをとって終わりじゃなくて、その後に歩んだ水泳人生も大きかった」と口にした。

ライブ配信は、北島氏が主宰する会員制の水泳教室で10年目に突入した「KITAJIMAQUATICS(キタジマアクアティクス)」が企画したもの。この日まで5日間連続でさまざまなゲストを迎えて行われた。北島氏は「こういう状況の中でゴールデンウイークに、いろんな方にライブ配信に協力していただいた。水泳が好きな人に少しでも何かを伝えられたらいいなと思って企画しました。またいろいろな形で水泳界を盛り上げてほしいと思っています」と感謝を口にしていた。【益田一弘】