「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)は当初、「bot」と呼ばれる少数のソフトウェアロボットを使い、PCでスプレッドシート作成の効率を高める手段として広まった。自動化技術が発展するにつれ、RPAのbotはデスクトップPCだけでなくクラウドサービスのインフラでも稼働するようになった。クラウドサービス形式のRPAソフトウェア「クラウドRPA」を利用することで、企業はインフラの拡張性の向上やアプリケーション同士の連携の強化を実現できる。
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クラウドベンダーはクラウドRPAの拡充を進めている。例えばMicrosoftはユーザー企業向けにRPAソフトウェアの機能を持つクラウドサービス形式のワークフロー自動化ツール「Power Automate」を提供する。GoogleはRPAベンダーのAutomation Anywhereに出資した。主要RPAベンダーはクラウドサービスで自社製品を便利に利用できるようにするための改良に力を入れている。
本連載はRPAがクラウドサービスのインフラで稼働する仕組みや、クラウドRPAを利用するメリットを解説する。
「クラウドRPA」とオンプレミスのRPAソフトウェアの違いとは
クラウドRPAはオンプレミスのRPAソフトウェアと同様に機能する。IT部門はクラウドRPAを使うと、ルールに基づくビジネスプロセスを実行可能なbotを開発できる。中には人間のPCの使い方を観察して、その使い方を再現したbotを設計できるクラウドRPAもあり、こうしたクラウドRPAはbot開発のプロセス自体を自動化する。
クライアントPCやオンプレミスサーバで稼働するオンプレミスのRPAソフトウェアと比べて、クラウドRPAはインフラの迅速な拡張や豊富なセキュリティ対策といったクラウドサービスのメリットを生かしやすい。大規模企業がオンプレミスのRPAソフトウェアで業務用botを開発する場合、設計や設計の承認プロセス、セキュリティの検証、導入作業に時間を取られ、大きな遅れが生じることがある。クラウドRPAはそうした遅れを「大幅に縮小する」と、業務システムの導入支援を手掛けるQ4 Associatesのエグゼクティブディレクター、モーリス・ダビー氏は指摘する。
ITコンサルティング企業Everest Global(Everest Groupの名称で事業展開)でプラクティスディレクターを務めるアマーディープ・モディ氏は、クラウドRPAのbotは「拡張性が高い」と言う。その理由としてモディ氏は、クラウドサービスのインフラは「コンテナ」などインフラ構築・運用の効率化技術が利用しやすいことを挙げる。例えばコンテナを利用すれば、ベンダーやユーザー企業はインフラの構成や設定にかかる時間を短縮し、容易に拡張できる。
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