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Tuesday, May 25, 2021

地球温暖化は宇宙ゴミ問題にも悪影響を及ぼしている - GIZMODO JAPAN

気候変動に関しては懸念点がたくさんありますが、宇宙ゴミ(スペースデブリ)のことも心配しなくてはいけないようです。

最近発表された2つの研究成果は、過剰な二酸化炭素が地表面から数百マイル上にある大気圏の組成に干渉していると示しています。そこで起きている変化は地球低軌道ゴミ埋め立て地へと変え、現代の生活に不可欠なGPSや他のテクノロジーの機能へ影響を及ぼすことになるかもしれません。

気候変動に関する出来事のほとんどは地上と大気圏のもっとも低い層として知られる対流圏で起きています。しかし宇宙ゴミについての欧州会議で発表された研究は、あまり調査されていない上層大気に光を当ててたものでした。研究の衝撃的な結論は、その大気層が縮小してしまい密度が薄くなっていて、さらに多くの宇宙ゴミが蓄積されるリスクを高めていると示していたのです。

この研究を率いたサウサンプトン大学の研究員Matthew Brownさんは「対流圏への影響は何年も研究されてきて、増え続ける二酸化炭素でどうなっていくのかある程度までは分かっています」と言います。「私たちは影響を受けている層を周回している衛星にますます頼るようになる一方で、上層大気に目を向けた研究はかなり少ない」とのこと。

大気圏の各層は、存在する化学物質や分子に応じて密度が異なります。対流圏では過剰な二酸化炭素が太陽エネルギーを多く閉じ込めることによって、地表面の温度上昇が生じます。大気圏のなかでも密度の高い領域なので、熱を閉じ込めておく分子がたくさん存在するのです。しかし大気圏の上空へと上がっていくと、熱を閉じ込めるものは少なくなって、その多くが宇宙空間へと放出されます。新しい研究は、地上からおよそ80~600kmにある熱圏に注目しました。

そこでは驚くほど熱が失われています。2015年からこの問題を研究しているサウサンプトン大学の研究者Hugh Lewisさんはメールの中で「大気圏の上層における気温の変化は(地表面に近い層と比べて)10倍以上大きい」と語っていました。その変化が、熱圏や大気圏の別の領域の密度の低下を引き起こしているのです。新たな分析によれば、1967年から収集されているデータは10年ごとに5%、2000年だけで17%の密度の低下を示しているとのこと。それは実質的に、宇宙ゴミに対する地球の防御の第一線に穴を開けているようなものです。

熱圏は分子への衝突で生じる抗力によって、宇宙ゴミを降下させています。その抗力は最終的に、密度の高い大気の層が焼却炉としての役割を果たすもっと低い軌道へと宇宙ゴミを連れて行くのです。既に薄くなった上層大気はさらに希薄になると見込まれていて、新たなモデリングは世界が気温上昇を1.5℃に抑えるというパリ協定の最も意欲的な目標を達成できたとしても、熱圏の密度は30%低くなるかもしれないと示しています(そうなると宇宙ゴミが従来よりも長く軌道に留まってしまうということに…)。その一方で地球低軌道にある宇宙ゴミやシステム類は増えると予想されているので、込み入った危険な状態が作られてしまいます。

「600km以下の層で運用中あるいは運用を目指している巨大なコンステレーション(いわゆるメガコンステレーション)の安全性を特に憂慮しています」と、Lewisさんは急拡大しているイーロン・マスクのStarlink衛星プロジェクトを引き合いに出しながら言いました。「このようなシステムがこの層を狙ったのは、彼らの衛星の安全に有益な効果があるからです」。

気候変動が助長しなくても、宇宙ゴミは増えつつある懸念事項です。宇宙当局は既にデブリと闘っていて、去年だけでもデブリを撤去する高額なミッションの契約を決め、衝突を避けるため国際宇宙ステーション(ISS)に緊急の軌道変更をさせる回数も増えました。

この変化は熱圏に限ったことではなく、その危険性は地球低軌道にある衛星以外にも及んでいます。今月、学術誌「Environmental Research Letters」に掲載された別の研究は、地上20~60kmの成層圏に注目。Brownさんは、その研究結果が「層の大気密度が異なるため、類似の変化がわずかに異なって現れている」ことを示していると認めています(ERLの論文は、成層圏と対流圏の境である対流圏界面も上昇しているとも示していて、状況に別の観点からの見解を述べています)。

オゾン層は成層圏の中にあって、科学者たちは層に穴を開けた化学物質のせいである可能性を調べました。しかしながら結果は、オゾンにダメージを与える化学物質の使用をやめたとしても、ここ数年は成層圏の寒冷化と希薄化は一定の速度で続いていたというものでした。この論文の研究者らは、GPSなどのテクノロジーは成層圏がそこに存在して変わらないことに依存してると書いています。

ですから、海面上昇や飢餓、水不足など地上で起きているあらゆる被害を心配するのは当然ですが、最新の論文2つが示すように温室効果ガスはずっと上空にも悪影響を及ぼしているのです。

「大気圏の下の1%に住んで働いているからといって、残りの99%を無視していいわけではない」Lewisさんと述べていました。

Source: EUROPEAN CONFERENCES ON SPACE DEBRIS, IOPscience,

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