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Friday, April 2, 2021

白煙立ち上る現場、松江市長「普通の火事ではなく…まさに災害」 - 読売新聞

 1日夕に松江市島根町加賀で発生した大規模火災は2日、民家など計30棟や山林を焼き、22時間後の同日午後3時に鎮火した。市消防本部によると、少なくとも民家など19棟が全焼し、煙を吸うなどして消防士を含む計3人が軽いけがを負った。強風にあおられた炎は漁港集落内に広がり、住民らを不安に陥れた。(竹内涼、門間圭祐)

 島根県警松江署や市消防本部によると、火災は1日午後4時55分頃に集落内で発生。地区住民が民家から、煙が上がっているのに気づき119番した。火は強風にあおられて周辺の民家に次々と燃え移り、住宅地北側の山林まで広がった。

 出火から8時間後の2日午前1時に火勢は収束したが、完全に消えるまでにはさらに14時間を要した。この火災で19棟が全焼、1棟が半焼、部分焼などが10棟に上り、少なくとも計30棟に被害があった。また、山林は推定約2000平方メートルが焼けた。2日午後4時現在、21世帯計47人が被災したが、犠牲者はなかった。

 市消防本部と消防団は、ポンプ車など約40台で消火にあたった。松江地方気象台によると、火災発生当時、市内には強風注意報が発令され、周辺では西向きの風が吹いていた。

 住民らは不安な夜を過ごした。火災現場の見える高台で消火作業を見守った70歳代の男性は「車で帰る途中、山越しに煙が見えたが、すでに3、4軒に燃え広がっていた」と言葉少な。

 自宅が焼け、避難所となった島根公民館に身を寄せた男性(81)は発生当時、家におり、知人からの電話で屋外に出ると、黒煙がすでに立ちこめていたという。「無念の一言。生まれ育ったところがあっという間に終わってしまった。今は何も考えられない」とうなだれた。

 一夜明けた現場では、焼け焦げて骨組みだけとなった民家から、白煙が立ち上っていた。消防隊の活動を見ていた40歳代の女性は、「昨夜も自宅が心配で、(現場に)どれぐらいいたか分からない。親戚の家に一度避難したが、朝6時ぐらいに心配で見に来た。家は残ったようだが、中を見るまで安心できない」と表情を曇らせた。

 島根公民館には、1日深夜までに一時50人以上が避難。新型コロナウイルスの感染対策で、間仕切りが設けられ、企業や個人から、食料品などの支援物資が続々と届けられた。

 火災を受け、市は2日、対策本部会議を開き、被災者に対する市営住宅のあっせんなどの情報を共有。市本庁舎や各支所に義援金箱を設置したほか、ふるさと納税の使い道にも被災者救援を追加した。

 同日午前には、松浦正敬市長が島根公民館に避難住民を訪ねた。松浦市長は「普通の火事ではなく、まさに災害だ。当面は住居の確保を急ぎ、生活再建に関して、一人一人にきめ細かに対応したい」と述べた。

 また、県は同日、松江市に災害救助法を適用すると発表。同法の適用で、避難所の運営や被災者の食事、飲料水の確保に関する費用などを国と県が負担する。

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