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Sunday, March 28, 2021

なかなか買えない今だからこそじっくり検討! 圧倒的性能! ハイエンドビデオカードの王者は? - PC Watch

 レイトレ対応GPU第2世代として華々しくデビューしたNVIDIA GeForce RTX 30シリーズ、そんなGeForceと戦える実力を持って登場したAMD Radeon RX 6000シリーズ。2020年末から2021年初頭はメインストリームGPUの充実も進み、ビデオカード市場はガチンコ対決でいよいよ激戦必至……と思いきや、実際には空前の“品薄”という状況にある。

 ここでは日本国内で発表・発売されている最新ハイエンドビデオカードの中からオススメの製品を取り揃えて評価を実施。「見付けたら買え!」が現在のビデオカードの購入の秘訣になっているが、そんなときに背中を一押しするような情報をお届けする。(TEXT:加藤勝明)

GPUの特性を浮き彫りにする実力テストで見きわめる

 ここではRTX 3080/3090、RX 6800 XT/6900 XT搭載のハイエンドビデオカードに絞って検証を行なう。

 まずは定番「3DMark」を使った力比べだが、DirectX 11ベースとDirectX 12ベースのテストではやや傾向が異なる。

 前者、つまりFire Strike系で圧倒的に強いのはRadeon勢だ。RDNA2世代特有の高クロック動作に加え、実効メモリ帯域を上げるInfinity Cacheが効いている。後者のうちTime Spyは解像度が低いためRadeon勢が優勢だが、Time Spy Extremeではメモリバス幅の広いRTX 3090が盛り返す。

 そしてPort RoyalではGeForce勢が完全にライバルを圧倒。レイトレーシングの世界ではGeForceに圧倒的なアドバンテージがある。

 次に「PCAT」を利用してゲーム中のビデオカード単体の消費電力(TBP)を比較した。今世代のハイエンドカードは公称300W近い消費電力をうたっている製品が多いが、とくに電力を消費していたのがMSI製のRTX 3090搭載カード。平均400W、瞬間最大437Wはちょっとしたエアコン並みだ。

 Radeonのほうが全体的にTBPは低いが、それでも300W以上。このクラスのビデオカードを運用するなら、電源ユニットの出力は850Wは欲しいところだ。

ビデオカード単体の消費電力を正確に計測できるNVIDIAのツール「PCAT」。RadeonでTBPを正確に計測するのにも有効だ

 続いて実ゲームでの検証だが、まずは描画の軽い「レインボーシックス シージ(R6S)」と「アサシンクリード ヴァルハラ(ACV)」で検証する。

 どちらもレイトレーシングは使っていないタイトルだが、R6SはGeForce勢の善戦と、Radeon勢の4K環境における伸び悩みに注目。フルHDで最速を叩き出しているのはMSI製のRX 6900 XT搭載カードだが、4Kではメモリバス幅の太いRTX 3090に負けている点にも注目したい。

 ACVは全般的にRadeon系が圧倒的に強い。もともとAMD肝いりだけあってRadeonとの親和性の高いタイトルだが、PCI ExpressのResizable BAR(AMDはSmart Access Memoryと呼ぶ)が効いており、フレームレートがさらに伸びている(おおむね15%前後)。

 NVIDIAもRTX 3080/3090用にResizable BAR対応のvBIOSを準備中とのことなので(2021年3月中旬時点)、効果のほどは今後検証してみたい。

アサシンクリード ヴァルハラは、RX 6000シリーズが活きるタイトル。Resizable BARも有効に働き、対応環境ではさらにフレームレートが伸びる
アサシンクリード ヴァルハラ:(c)2020 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.

 今期のハイエンドGPUはすべてがDXR(DirectX Raytracing)に対応したので、最後に「ウォッチドッグス レギオン」で検証する。レイトレーシングの設定“最大”でのフレームレートで比較するが、GeForce勢はDLSS“高性能”(DLSS 2.0のPerformance設定)を追加した状態でも検証を行なった。

 前述の3DMarkのPort Royalと同様、実ゲームでもDXRパフォーマンスはGeForce勢が圧倒し、Fire Strike最速だったRX 6900 XTも、RTX 3080勢のフレームレートにおよばない。さらにGeForce勢はDLSSを有効にすることでWQHDや4K時のフレームレートが大きく伸びる。

 ハイエンド製品を買うユーザーは4K/HDRでのゲームプレイを考えていることも少なくないと思われるが、この領域ではRX 6800 XT/6900 XTのメモリバス幅256bit制限や、DLSSのような効率よくフレームレートを稼ぐ技術が実装例と技術両面ともに乏しいRadeonには厳しい状況。

 まだこの世にはレイトレーシングを使わないゲームが圧倒的に多いとはいえ、AAAタイトルを中心にGeForce寄りのレイトレーシングの実装が進んでいる。AMDが今後ハイエンドで覇権を獲るには、この領域の攻略が求められる。

-総評- 新Radeonが健闘するも総合力はRTX 3080

 今回のハイエンド勢実力検証では、非レイトレゲームにおけるRadeonの強さが目立った。RDNA2世代が持つ3次キャッシュと言うべきInfinity Cacheは、GPU設計における革命と言ってよいだろう。

 その一方でより凝った映像を作れるレイトレを使ったゲームではGeForceが圧倒的な性能を発揮。DXR対応ゲームの数を考えるとGeForceの強さは盤石とは言えないが、ハイエンドGPUで最高画質プレイを攻めたいユーザーを満足させられるのはGeForceにアドバンテージがある。

レコメンド製品の選考では実売価格も重要な要素になるが、現状は各製品とも品薄と価格上昇が厳しい。早期解消は難しそうだ
ゲームでのレイトレ活用例はまだ必ずしも多くないが、期待の大作の多くが使ってきていることは無視できない。高性能カードには存分に堪能できる性能を望みたいところ
ウォッチドッグス レギオン:(c)2020 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.

【検証環境】CPU:AMD Ryzen 9 5950X(16コア32スレッド)、マザーボード:GIGA-BYTE X570 AORUS MASTER(rev. 1.0)(AMD X570)、メモリ:G.Skill F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)×2、SSD:GIGA-BYTE GP-ASM2NE6200TTTD[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB]、CPUクーラー:Corsair iCUE H115i RGB PRO XT(簡易水冷、28cmクラス)、電源:Super Flower Leadex Platinum 2000W(2,000W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、レインボーシックス シージ:内蔵ベンチマーク機能を利用して計測、アサシンクリード ヴァルハラ:内蔵ベンチマーク機能を利用して計測、ウォッチドッグス レギオン:内蔵ベンチマーク機能を利用して計測

DOS/V POWER REPORT 2021年春号では「見付けたら買っておきたい クラス別最強ビデオカードはこれだ!」と題した特集を掲載している。ハイエンドとメインストリームの二つのセグメントについてGPUごとにできるだけ複数の製品をピックアップして横並びで検証、ゴールド/シルバーレコメンド製品の選定を行なっている。さらに春号には初心者向けの自作入門小冊子も付いていて、この春の自作PCがすべて分かる1冊に仕上がっています。

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