野党がずっと要求していた一律給付を蹴っていた安倍政権
2020年4月16日。安倍首相は7日前に7都府県に出した緊急事態宣言の範囲を拡げ日本全国に初出した。
それとともに、それまで今回の経済対策の柱の一つであった、所得が大幅に減少した世帯への30万円の給付を取り下げ、国民一律一人10万円の現金給付にすると発表した。首相は閣議決定も終わった補正予算を組み直すという異例中の異例の対応に追い込まれたのだ。
この決定には与党・公明党の山口代表の直談判が大きく影響したとされる。しかし、この一律10万円給付案は3月9日に国民民主党の玉木雄一郎代表が下図のようにいち早く提唱し、その後、立憲民主党、日本共産党、れいわ新鮮組などの野党が共同して現金の一律給付を、早急に行うべきと国会で詰め寄っていたものだ。
しかし、首相は直前の国会でも野党案をことごとく否定。さらに自民党内の一部議員などからの同様の要求も一蹴していた。しかし、30万円給付案は非常に評判が悪くこの一週間の間に3回も変更したのである。
まずは支給条件を住民税非課税という基準から全国一律のものと対象を広げ、次に世帯主だけでなく配偶者などの収入の減少も考慮すると変更を余儀なくされた。最後には今春、内定切りになった新卒も対象にすると報道された。このように一週間に3回も変更をして押し切る予定だったが、それもできなかった。
評判が悪いだけでなく、身内が率先して破ってる安倍コロナ対策
経済対策だけでなく首相のコロナ対策は評判が悪い。評判が悪いだけでなく安定していないのだ。
世界中で積極的に行っているPCR検査をしない。いや政府は幾度となく検査数を拡大するという方針を示すが実態が大きく変わってはいない。2月下旬には全国の小中高校に対して3日後からの一斉休校を求めたが、翌日には休校決定は各県の首長に任せると変わる。
何しろ、首相の要請をその夫人が率先して行ってないと考える向きが少なくない。花見の自粛を求められる中、昭恵夫人がモデルやジャニーズのタレントら大勢と会食をし、桜の樹を背景に記念写真を笑顔で撮影したものが報道されたのに続いて、他の予定がキャンセルされたからと50人の団体で東京から大分県へ都県を大きくまたいで旅行に赴いたことが報じられた。これらについて、首相は桜の樹の下での宴会でなくレストランでの会食は禁止されていない。神社の参拝は三密でないと釈明したが、多くの国民が納得したと言えるだろうか。
さらに、首相補佐官の秋葉賢也氏が会合やブッフェ会合を自粛を求めているのに、ブッフェ形式で政治資金パーティを開き、前環境大臣の原田義昭議員が品薄のマスクを医療関係や福祉関係団体へ高額販売の口入れをしたと報道された。 政権に事の重大性が透徹され、一段の緊張感があるといえるだろうか?
私は、4月に予定されていた習近平首席の来日と夏の東京オリンピックが感染対策の判断に影響したと思っていた。しかし、その二つの枷が無くなった後も官邸の対応は遅いし混乱している。世界でもトップクラスに有能なはずの官僚がまともに助言もフェアな判断もできなくなってしまっているのだろうか。これも忖度政治の弊害だろうか。今や官邸の対応を待ってられないのか、各都道府県の首長が自ら動き始めてしまった。
私たちは、この危機を乗り越えるために、納税者として公的機関からサポートを受け取ることができる。何もしないままだと、マスク2枚と児童手当、1回のみ1万円の上乗せで終わってしまう。
やっと決まった一律1人10万円の支給でさえ、自ら書類の提出が必要だ。さらに世帯主一括支給なので、住民票はそのままでも夫婦仲が破綻し別居していたり、DVなどの理由で家から離れて暮らしているといった人たち、住所不定のネットカフェ住民など、一番援助を必要とする人たちのところに、支援がされない可能性がある。それ以外のほとんどの公的サポートも自ら調べ、手をあげ、申請しなくてはもらえない。それも、国のものもあれば、地方自治体独自に行うものもある。県で出す給付金もあれば、市区町村で行うものもある。自ら調べ受けられるものを把握しておきたい。
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